Vol.49曲目紹介

 

Sing, Sing, Sing シング・シング・シング

 

1936年に "King of the Swingers" と語られる歌手・トランペット奏者のルイ・プリマによって作曲された、スウィング・ジャズの代表曲の一つ。トロンボーンとトランペットの掛け合いによる躍動感あるイントロ、サクソフォーンとトランペットが奏でるマイナーコードにもかかわらずダンサブルで華やかなメロディ、延々と続くドラムソロが印象的な楽曲であり、スウィング・ジャズの特徴を余すところ無く盛り込んだ一曲である。さらには後述のベニー・グッドマンの影響もあってクラリネットのソロでもお馴染みである。1938年にベニー・グッドマン楽団がカーネギー・ホールでのコンサートで演じて以来、同楽団の代表曲として知られる。特に、当時の同楽団の看板ドラマー・ジーン・クルーパの黒人的なドラムソロは、ジャズ界におけるドラムの認識を覆すほど革新的で、シング・シング・シングといえば、誰しもがまずジーン・クルーパのドラムソロを連想するほどだった。グッドマンは、差別の激しい時代に黒人ジャズマンを楽団に採用した、リベラルな白人としても知られている。

 

 

 

Chattanooga Choo Choo チャタヌガ・チュー・チュー

 

 作詞はマック・ゴードン、作曲はハリー・ウォーレン 。冒頭に「A列車で行こう」の序奏をほとんどそのまま引用したあと、楽しい汽車の旅を連想させる前奏が続く。駅の靴磨きと乗客との軽快なやり取りから、歌詞は次第に意外な結末へと変化してゆく。1941年にグレン・ミラーが率いるビッグ・バンドが発表した楽曲。同年封切りされた、このバンドが主演した最初の映画である『銀嶺セレナーデ』の主題歌として作られた。現在でもジャズ、ビッグ・バンドのスタンダードナンバーの一つとして、しばしば演奏される。曲名にもなっている「チャタヌーガ・チュー・チュー」とは、シンシナティ市が初めて建設した公共鉄道であるシンシナティ・サザン鉄道が1880年に運行を開始した、シンシナティ発チャタヌーガ行きの旅客列車の愛称である。「チュー・チュー」とは、赤ちゃん言葉で「汽車ぽっぽ」といった意味である[

 

 

 

Take the ‘A’Train A列車で行こう

 

 デューク・エリントン楽団のテーマ・ソングとしてのお馴染みの1曲だが、エリントン自身の作品ではなく、生涯エリントンの右腕として彼の活動をささえつづけたビリー・ストレイホーンの作詞・作曲による1941年の作品。1943年のミュージカル映画『リヴァイル・ウィズ・ビヴァリー』1961年の『パリ・ブルース』でも使われている。ビリー・ストレイホーンが書いた名曲は、どこか女性的であり、繊細な印象を与えるものが多い。しかし快活で明るいイメージをもったこの曲は、その意味では例外的な1曲といえるだろう。歌詞はニューヨークのハーレムを走る地下鉄(A列車)をテーマにしたもの。“ハーレムに行きたいならA列車に乗ろう”という内容で楽曲の形式もオーソドックスなAABA32小節。

 

 

 

Mack The Knife マック・ザ・ナイフ

 

 ベルトルト・ブレヒト、マーク・ブリッスタイン作詞、クルト・ワイルの作曲による1928年の作品。もともとはブレヒトとワイルが『三文オペラ』というミュージカルのために書いた曲である。その英語版が1933年にアメリカで上演されるがヒットはせず、その後脚本を改め1952年に再上演したところ好評を博し1955年以降、数多くのレコードが出るようになった。ジャズではソニー・ロリンズの完成度の高い演奏と、エラ・フィッツジラルドの楽しげな熱唱で有名な1曲となっている。

 

 

 

Stardust スターダスト

 

 ミッチェル・パリッシュ作詞、ホーギー・カーマイケル作曲による1929年の作品。ミュージカルや映画とは無関係で故郷ブルーミントンの母校を訪れた時に失恋した女性を思い出して浮かんだのがこのメロディだったという。30年代に入ってからルイ・アームストロングやビング・クロスビー、トミー・ドーシーやベニー・グッドマンらが録音し、広く知られるようになった。歌詞の内容は“なぜ僕は、時々ある歌のことを思いながら寂しい夜を過ごしているのだろう。メロディは夢にまで出てくるし、また君と一緒にいる。恋のはじめの頃はどのキスも新しい発見だったが、それもずいぶん昔のこと。今ぼくの慰めは星くずのなかにある”というもの

 

 

 

It Don’t Mean A Thing  イット・ドント・ミーン・ア・シング

 

 デューク・エリントンが作曲、アーヴィング・ミルズが作詞を手がけた1932年の作品。もともと器楽演奏用の曲として作られたが、ミルズが歌詞をつけることでヒット・ソングとなった。エリントンの最初のレコードは19322月に発売された。シンプルでリズミカルな歌詞“ドゥワ・ドゥワ・ドゥワ”というスキャットもありアップテンポで演奏されるケースが多い。ジャズは理屈ではなく、とにかく身体と心で感じる音楽であることを象徴するような名曲です。